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出版社の編集者が喜ぶ本の企画

出版したいと思っている人が多い割に、意外と企画を売り込む先である出版業界や出版社の求めていること、そこに所属する編集者の考えていることなどは知られておりません。

 

でも、それを知らずに出版なんてできるわけないと思ってしまうのは私だけでしょうか?

 

何でもそうですが、自分が何かを望むのであれば、まずは相手のことを知りましょう。
そして、その上で傾向と対策を考えなきゃ、意味もなく遠回りをすることになりますからね。

 

この記事では、出版業界で20年以上お仕事をし続けてきた私から見た、出版業界や出版社の求めていること、そこに所属する編集者の考えていることについて書こうと思います。

 

本を出版する場合の編集者と著者の関係

出版社の編集者は、その本は売れると思うからこそ、書籍を発刊します。

書籍を発刊するためには諸経費諸々でだいたい300万円以上の資金を投入しなければなりません。

そして、書籍の売上から投入した資金を回収し、さらに利益を出さなければ、出版社は潰れてしまいます。

 

しかし、多くの著者は、自分の自己実現のために書籍を出版しようとします。

自分のブランディングや集客、次の活動に利用しようとすることも少なくありません。

書籍という形に残すことを重要視して、その書籍の売れ行きへの意識よりも形に残すことを大切にしているような感があります。

 

かつて、書籍は黙っていてもある程度、売れる時代がありました。

 

そのため、利益を出してくれる著者や企画は、出版社にとっての財産となり、著者が重宝されていた時代が続きました。

 

しかし、出版不況は続き、書籍はいろいろと工夫をしなくては売れなくなってしまったのです。

 

そうなると、いつしか力関係は逆転します。

当然のことながら、企画進行の敷居は高くなり、より売れるための工夫を受け入れない著者は、よほどの企画でないと発刊は厳しくなってきました。

 

出版社が利益を出すためには、次の二つの方向で工夫します。

 

  • より売れる工夫
  • より原価を抑える工夫

 

書名やカバー、帯は前者、紙の質などの仕様は後者に該当する項目と言えるでしょう。

 

基本的に、書名やカバー、帯、仕様は最終決定権は出版社にあります。

なので、出版社の編集者は、上記の二つの方向で工夫をせざるを得ないため、過激な書名や安い紙、色数を減らす提案してきます。

逆に著者としては、自分のブランディングや次の活動への布石として考えると、できるだけ良い書籍にしたい気持ちがあります。

 

そのため、出版社と著者との衝突というのは、よくある話です。

 

 

著者としての気持ちは、十二分に理解できるのですが、出版社からすると「あなたのために書籍を発刊するのではありませんし、資金を投入するのは弊社である以上、弊社で売れると思えないのであれば、発刊は中止します」と思うようです(これは実際に言われました)。

 

これは、かつてチヤホヤされていた著者を見たり、聞いたりして著者になろうとする者と、出版不況の中で創意工夫をしながら生き延びてきた編集者との意識のズレと言えるでしょう。

 

ただ、編集者も意地悪をしたいわけではありません。

本当なら、できるだけ円満に、両者が納得できる形で、売れる書籍を作りたいということが理想です。

なので、著者の意向をできるだけ反映しようとはしてくれます。

しかし、多くの著者が、出版社の都合よりも、自分のブランディングや集客、次の活動への布石にしたいという意識が前面に出ているため、編集者としても引くに引けないというのが本音なのではないでしょうか。

 

交渉の際に「こうした方が売れる」というスタンスで、互いにいろいろ提案し合うと、このような衝突は起きません。

なので、著者として、好き嫌いで提案するのではなく、売れる売れないを基準に根拠や裏付けをもって話すようにしてください。

それなら、結果的に、多少、投入する資金が増えたとしても、それ以上の売れ行きが見込めるのであれば、編集者もちゃんと聞いてくれるはずですからね。

 

いずれにしても、出版社の編集者は著者に投資をしていることを理解して交渉することが重要なのです。

 

これは取次の方の言葉ですが、「良い書籍と売れる書籍は違います。そして、売れた書籍こそが本当に良い書籍なのです。」と聞いたことがあります。

これは、決して利益が出るから良い書籍と言っているわけではありません。

多くの人に読んでもらえてこそ良い書籍だという意味です。

逆に、どんなに素晴らしい内容であっても、誰にも読んでもらえないのであれば、その書籍の存在意義はありません。

 

なので、是非、このコトは、意識するようにしてください。

 

出版社における企画書の読み方

出版社でどういう風に企画が決まるかを説明したので、それらの会議で企画書がどのように読まれているかについて、説明しようと思います。

 

出版を目指す場合、出版企画書を書き、それを持って出版社や編集プロダクションに売り込みをするのが一般的です。

ただ、その場合に持って行く出版企画書の捉え方が、書いた人間と読む人間とで、その捉え方が違うように思います。

 

企画書を書く側は、ほとんどの方が、「こんな感じの本を出版したいなぁ~」と漠然とイメージをしながら書くことでしょう。

それは著者の希望なのだと思います。

 

しかし、出版企画書を読む側は、「この著者は、こういう本を出版したいんだね」と思いながら読みます。

これに対して、著者の条件だと思うのです。

 

つまり、書き手は“希望”で、読み手は“条件”だと思っているということになります。

 

 

この捉え方の違いがどういうことになるかというと、出版企画書を書いた人間はあくまでも希望なので、譲歩することを前提に著者の思い描いている精一杯の要望を書きます。

しかし、読む人間にとっては条件だと思って読むので、こうでなくては出版したくないというぐらい、その出版企画書で進行可否を判断するものだと思って読みます。

 

具体的に言うと、企画書に「ハードカバーでフルカラーの本」と書いてあったとします。

企画書を書いた人間は、あくまでも「ハードカバーでフルカラーの本だったらいいなぁ〜」というのが希望であり、そうでなくても全然構わないと思っていることと思います。

でも、その出版企画書を読んだ出版社は「この著者はハードカバーでフルカラーじゃなきゃ嫌なんだぁ~」と思い、「ハードカバーでフルカラーじゃなきゃ本になるかもしれないけど、ハードカバーでフルカラーじゃ原価も上がるし、無理だな」と判断します。

結果、そのすれ違いにより、本になるチャンスを逃すことになるのです。

 

これはカバーや色(オールカラー)の話しに限らず、ページ数や判型などにも同じことが言えます。

もちろん、内容についても同じコトが言えるでしょう。

 

では、どうすれば良いかと言うと、このあたりのコトは書かないというのは手ですし、書くとしてても「希望」と書き加えてもよいでしょう。

 

いずれにしても、これが条件ではないコトが分かるようにし、譲歩する余地があるコトが伝わるようにした方がよいと思います。

 

編集者が重要視しているのは「本にしたら売れそう」という感覚

何も知らない人からすると、本の著者になること、作家になることについて、敷居が高いと思っている人が多いと思いますが、実はそんなことはありません。

実際、誰もが知っているベストセラー作家にも最初の一冊は必ずあります。

その時、そのベストセラー作家は、皆さんと同じ素人だったはずです。

でも、そこで頑張ったから著者になり、出版した本が売れたからこそ、次々と出版できているだけの話です。

 

出版社は、常に「本にしたら売れそう」なネタを探しています。

 

逆に言えば、あなた自身が「本にしたら売れそう」と思ってもらうか、あなたのスキルやノウハウを「本にしたら売れそう」と思ってもらえれば、それほど難しくなく出版することは可能です。

それぐらい、編集者は「本にしたら売れそう」という感覚を重要視しています。

 

 

では、何であなたが出版できなかったのかと言えば、編集者の「本にしたら売れそう」というアンテナに引っかかっていないから。

 

あなた自身が「本にしたら売れそう」と思ってもらうためには、自分の知名度や影響力をアピールすることが必要になります。

そのためには、テレビやラジオ、雑誌など、本以外でのマスメディアで露出をするということ。

他には、100人以上を集めるセミナーを開催したり、5000人以上の会員制組織を運営したり、1万人以上の読者がいるブログを運営したり、3万人以上のツイッターを運営したり、10万人以上のメルマガを配信したり…マスメディアでの露出を代用できることは多いです。

 

あなたのスキルやノウハウを「本にしたら売れそう」と思ってもらためには、まず検索結果で上位表示をすること、ブログランキングで上位にいること、たくさんの人にシェアしてもらうこと…とにかくあなたのスキルやノウハウがアクセスを呼び、評価されていることが重要になります。

 

どちらの場合でも、必要なのは客観的な評価。

これがなければ、ゼロ評価だと言っても過言ではありません。

 

もし、出版を目指しているのであれば、そのことを考慮して、まずは自分自身、もしくは自分のスキルやノウハウを露出させて、目立つことを考えてみましょう。

それで評価を得ることができれば、 極論、文章なんて書けなくても本を出版することができたりします。

 

「本にしたら売れそう」と思ってもらえれば、編集者がどんな文章でも修正してくれますし、ゴーストライターを立ててくれることもあるからです。

そういった意味でも重要なのは、いかに編集者の目にとめてもらえるかということであり、その上で「本にしたら売れそう」という感覚を持ってもらえるかが勝負なのです。

 

出版社での企画の決め方

ほとんどの出版社では、企画書を提出してから進行が確定するまでに2~3回の会議を通過しなくてはなりません。

そして、各会議で話し合う内容や参加するメンバーが異なることが多いのです。

 

1回目の会議

最初の会議では、編集部内でそれぞれの編集者が持ち寄った企画を吟味します。

この時点では、書名案と企画概要ぐらいの簡単な情報で、多数集まった企画から選別するのが目的です。

 

2回目の会議

次の会議では、1回目に通過した企画をより詳細な企画書にして、進行するべき企画をさらに検討していきます。

ここを通過したら、よほどなコトが無い限り内定となります。

 

3回目の会議

最後の会議では、確定を前提とした企画を営業など他の関連セクションの方も含めて、部数や価格、ギャランティなどを詰めていきます。

企画の良し悪しよりも、採算が見合うかどうかなど販促的な側面からも検討をして、最終的な結論が出ることになります。

 

 

このように、出版する企画が決まるまでには、企画書を提出してから進行が確定するまでに2~3回の会議を通過することになります。

 

しかし、企画書を作成するということは、1冊分の本を書くのと同じぐらいの労力がかかります。

それなのに、企画が面白くなくては、最初の会議で不採用となり、その企画書を作る作業が不毛な労力となってしまいます。

なので、直接、出版社の方にお話しできる環境にあるのであれば、先に口頭で企画を打診してみて、好反応だったものだけを企画書に落とし込むというように、段階的に企画書を作成することをオススメいたします。

 

まだ企画の段階なのであれば、出版社の編集者と話し合いながら企画を詰めていくこともよくありますし、企画が良ければ、その場で決まるコトもあります。

「こういう人がこういう本を書いてみたいそうなんですが…」

「あ、それ、面白そうだね」

この時点で、何もしなくても1回目の会議は通過できたも同然だったりします(こういう場合、出版社の編集者が会議用の資料は作成してくれます)。

 

ちなみに、この会話を出版社の編集長や社長との会話だと、2回目の会議もほぼ通過できたも同然となるでしょう。

 

もちろん、3回目の会議は印税などの諸条件が決まる重要な会議なので、油断してはいけません。

会議の結果次第で出版社側が企画を却下することもありますし、逆にこちら側からお断りしなければならない場合もありえます(極端に定額なギャランティ提示など)。

 

全ての出版社がこのような流れではありませんが、平均的にはそれほど外れていないはずです。

企画確定までのプロセスを理解することで、より効率的に売り込みをしてはいかがでしょう。

 

出版社で通りやすい企画とタイミング

どこの出版社にも通りやすい企画というのが存在します。

それは、改訂、バージョンアップ、ニューモデルといったものです。

勘違いしてはいけないのですが、新規や新商品ではなく、すでにあるものの焼き直しに近いイメージだとおもってください。

 

これは、我々のような編集プロダクションやライターさんなら、常に意識していることだと思います。

 

 

で、ポイントなのは、すでにある書籍が売れていて、そのバージョンアップ、ニューモデルであるということです。

たとえば、Windowsの入門書がありますが、これは、Windowsのユーザー数が多いので、常に一定数のユーザーが存在し、一定数の書籍は売れます。

このWindowsがバージョンアップをしたら、当然、新バージョンの書籍が必要になるので、その企画は通りやすくなるということです。

iPodなどのハードの本もそうですし、日々、どんどん改定されていく法律絡みの本などにも同じことが言えます。

 

つまり、国会審議や商品発表の情報は、通りやすい企画を考える上で重要なリソースになるのです。

 

そして、そういう企画を売り込むタイミングは、施行日、発売日のだいたい三ヶ月以上前が理想です。

三ヶ月以上前というのは、企画が通ってから発刊までに、どんなに頑張っても最速でも三ヶ月くらいはかかるからです。

もし、事前に準備ができない場合は、いかに執筆期間を短くするかがポイントになります。

そして、企画書に「『○○対応』で一番最初に発刊できると思います」と書くことで、さらに企画が通る可能性はより高まります。

 

売れている書籍の改訂、バージョンアップ、ニューモデルを常に意識して企画を考え、施行日、発売日のだいたい三ヶ月以上前に「『○○対応』で一番最初に発刊できると思います」と書いた企画書を持って売り込むと意外に簡単に、そして、出版社に感謝される形で出版することができるはずです。

 

出版のチャンスを待たずに積極的に提案していきましょう

私のところに出版したいと集まってくる人の中には、「出版社から、「何か、こういう企画無い?」みたいな要求ってないんですか? このジャンルなら対応しますよ」と言われる方が非常に多いです。

 

正直、出版社から「何か、こういう企画無い?」という話しは、毎日のようにあります。

 

でもですね、その企画の著者として、あなたが適任かどうかは別の話しなんです。

出版社の担当者も弊社の編集スタッフもそれなりに実績がありますので、多くの著者候補を抱えております。

つまり、その多くの著者候補の中から、あなたに依頼する理由があるかどうかです。

仲が良いからと言って、依頼するほど甘くはありません。

それは決して義理や人情の話しではないんです。

 

 

では、あなたに依頼される可能性について書いてみます。

 

まず、出版社で数多あるテーマの中から、あなたが書けるテーマで本を作ることが決定するかどうか。

次にその本の発注が数多いる編集者の中から、あなたの知り合いの編集者にくるかどうか。

そして、その編集者にとって、そのテーマの本を作る上で数多いる著者候補の中から、あなたが適任者として認識されるかどうか。

 

これだけのコトを乗り越えて、はじめて、あなたに依頼があるということを覚えておいてください。

 

もちろん、あなたが書きたいと思って提案した企画はあなたが書く企画として売り込みますが、出版社から言われた企画はあなたに依頼するかどうかは、何か依頼するだけの理由や売り、メリットがなければ、依頼することは無いでしょう。

 

もし、本当に出版をしたいのであれば、「出版社から、「何か、こういう企画無い?」みたいな要求ってないんですか? このジャンルなら対応しますよ」などと言って、待ちの姿勢になるのではなく、出版企画書を書いて、積極的に提案するようにしましょう。

 

待っているだけでは、何時まで経っても出版なんてできませんよ。

 

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