本気で本を出版したいと思ったら…
本を出したいと思っても、本を出すには何をすればいいのかはよく分からないという人が意外と多いです。
それは、出版業界が非常に閉鎖的な業界なので、その業界の中で行われている話しが、なかなか一般にまで流れてはきません。
一部の出版した著者が、自分の本の出版の仕方をあたかも本の出版方法の正解のようにしてセミナーなどを開催していますが、実際に私も参加をして聞いた限り、現実とはかなり乖離している内容が多いです。
そこで、本を出版したいと思ったら、何を考え、何をするべきなのかといった、本の出し方を紹介いたします。
目次
- 何もないのに出版しても何も手に入りません
- 本を出すということ
- 出版社から本を出版するには早い者勝ちです。
- 出版社から本を出版するのにかかる費用
- 本を出版したいと思った時に必要なのは、企画力? それとも文章力?
- 出版社の編集者が著者に求める能力
- 著者を探す側のマインド
- 本を出版するには
- 本を出版したいならブログぐらいはやっておこう
- 書籍を出版する方法
- ロングセラーを狙うなら、その棚での定番本目指す
- ネタがなくても本を出版する方法
- 本を出版したいならビジネス書の出版企画
- 本を出したいなら「あなたにしか書けないコト」を見つけよう
- 本を出したいなら「読者が必要性に気付いているコト」を見つけよう
- 著者になりたいんですか? ライターになりたいんですか?
- ペンネームが使える場合、使えない場合
- 出版のタイミング、チャンスは一瞬しかない
- この企画、本気で売れると思ってます?
何もないのに出版しても何も手に入りません
私のところに出版したいと相談に来られる方の中に「出版すれば成功できる」と誤解している方がいらっしゃいます。
正直、何もない方が出版しても、何も手に入りません。
出版して成功するのではなく、成功したから出版できるんです。
読者の気持ちになって考えれば、当たり前ですよね。
成功していない方が書いた本より、成功した人の本を読みたいはずですから。
なので、成功するために出版する努力をするぐらいなら、先に成功する努力をしてください。
よく、「卵が先か、鶏が先か」という議論になりますが、間違いなく成功が先です。
成功していない人が出版して、散々な状況になった事例をいくつも見てきているので、間違いありません。
言わば、出版は加速装置のようなものです。
先に成功して、その実績をもって出版して、さらにビジネスを加速する流れになります。
ゼロに何を掛けてもゼロですから…。
本を出すということ
本を出すということは著者にとって、それなりのメリットがあることだと思っているかもしれません。
しかし、本を出すということは、著者がそれらメリットを享受するために出版するわけではないのです。
著者にとっての出版
著者が本を出すということは、自分のノウハウやメソッドを公開するということは、それらが一般の目にさらされ、評価を受けることでもあります。
そこにウソがあったり、間違ったことがあったりすると、そういう評価が著者にくだされるのです。
分かりやすく言えば、アマゾンのレビューに書き込まれたり、ブログで酷評されたり、2chで心無い書き込みをされたり…。
また、何かの本を出すことによって、その本のイメージが、あなたの印象についてまわることにもなるでしょう。
だからこそ、メリットばかりに目をやるのではなく、本を出すことの本質をしっかりと理解して欲しいのです。
出版社にとっての出版
出版社は本を出して、その本が売れることで得られる利益で運営されております。
極論を言えば、売れそうな企画であれば出版するし、売れそうでなければ出版しないという話しです。
しかも、毎月の刊行点数が決められている場合もあり、その点数を維持するために出版することも少なくありません。
なので、出版できたということは、自分のノウハウやメソッドを評価されたと思う人もいらっしゃいますが、それだけではないということは覚えておきましょう。
ただ、ひとつ確実なことが言えるのは、あなたが出版できたのだとすれば、それは出版社がお金を出してくれた結果です。
そこに対する感謝だけは忘れないでください。
儲けさせる必要はありませんが、赤字にはしないという気概は持ってもらいたいものです。
読者にとっての出版
本は、読者がお金を払って購入します。
そのお金を積み上げて、出版社は利益を獲得していくわけですから、読者に買っていただくというのは、とっても重要なことなのです。
ただし、読者は本代しか支払わないわけですが、だからといって本代分ぐらいの情報量しか提供しなかったとしたら、それは読者からクレームになり、それこそネットのあちらこちらにいろいろと書き込まれるかもしれません。
読者は本代を支払って本を購入するわけですが、それだけではなく、さらに自分の時間を費やしてその本を読む訳です。
つまり、本代に費やした時間分のその人の時給を加算した金額が読者にとっての損益分岐点だということを忘れないでくださいね。
地球にとっての出版
本を作るということは、紙とインクを使います。
紙は森を伐採して作られ、インクは石油で作られています。
つまり、あなたが出版できたのだとしたら、それは環境破壊の結果なのです。
環境破壊をしてまで作り上げる訳ですから、しっかりと価値のある本、後世に残す価値のある本を作ってください。
決して、軽い気持ちで出版してみようかなどとは考えないようにしましょう。
出版社から本を出版するには早い者勝ちです。
最近、いろいろな方とお話しさせていただくのですが、つくづく『書籍の出版は早い者勝ちだな~』と思います。
「こんな企画で出版したいんです!」と熱く語られた企画は、弊社が昨年に著者探しで苦労した本と同じ企画だったり、つい先日に決まった企画と同じ企画だったり、今、営業中の企画と同じ企画だったり…。
最近では読者の嗜好が細分化され、出版するチャンスは広がったのですが、それぞれの市場は狭くなっています。
つまり、似たような本を何冊も出版できる市場は少ないということです。
ということは、その市場を早く見つけ、一番最初に旗を掲げた者だけが出版できるということになります。
しかも、その市場も無限にあるわけではありません。
書籍を出版したいと思ったら、躊躇している場合ではありません。
出版企画書の作成に時間をかけるよりも、サクッと出版企画書を作成して、さっさと出版社に売り込まないと、誰かに先を越されてしまいますよ。
こうしている間にも、出版のチャンスは先着順でどんどん決まっていきます。
あなたの企画も、早くしないと持っていかれちゃいますよ。
出版社から本を出版するのにかかる費用
本の出版に関する費用をよく質問されるのですが、出版社から本を出版する場合、商業出版であれば費用はかからないのが一般的です。
むしろ、印税をもらえます。
もし、出版社から費用を請求されたのあれば、それは商業出版ではない可能性が高いです。
ただ、商業出版であっても、費用負担を求められることがあります。
それは、企画がブランディング色が強い場合や完全に販促のための本になっている場合です。
また、あまりにも市場の狭い本やあまり売れそうもない本の場合も同様です。
いずれも社会的に、もしくは商業的に、出版する意義が希薄な場合となります。
費用負担については、広告費の負担、書籍の買い取り、印税の減額などの名目が一般的です。
パターンにもよりますが、現金を請求されることもあれば、他の形で負担することもあります。
しかし、これも立派な商業出版です。
もし、費用負担が嫌なのであれば、企画を見直し、出版する意義のあるものに昇華させるしかありません。
もしくは、書籍を出版することで、自分のビジネスの発展が見込めるのであれば、その費用負担はするべきなのだと思います。
いずれにしても、好きなことを書きたいということではないのであれば、商業出版を目指しましょう。
本を出版したいと思った時に必要なのは、企画力? それとも文章力?
ビジネス書での出版を目指す場合、よく話題になることがあります。
それは、“企画力”が先か、“文章力”が先かという話しです。
ここでいう“企画力”とは、ネタ、テーマ、切り口…このような単語にも言い換えられます。
ようするに、本の内容です。
“文章力”は、そのままですね。
で、この“企画力”が先か、“文章力”が先かという話しです。
私のところに相談に来られる方が、よく「今はネタがないので、文章力を磨きます」とおっしゃいます。
しかし、これは逃げ口上以外、何者でもありません。
ネタが無いのなら、ネタを探すべきです。
文章力をいくら磨いても、ライターにはなれるかもしれませんが、出版は近づきません。
よく、“企画力”が先か、“文章力”が先かという話しを、“鶏”が先か、“卵”が先かという話しと一緒に論じられることがありますが、全く違います。
著者を目指す以上、間違いなく必要なのは“企画力”です。
文章力は足りなければ補うことができます。
しかし、企画は、面白くなかったとしても、面白くすることはできません。
現に、長年、本を作ってきましたが、「企画書で見たのより、面白くない」という理由でボツになった事例はありますが、「文章力が無い」という理由でボツになった事例は一件もありません。
出版社の編集者が著者に求める能力
そのためには、出版社の担当編集者が著者に求めている能力を把握しておきましょう。
出版社の担当編集者が著者に求めている能力は3つです。
編集力
この企画をこの読者ターゲットに届けるためには、何をどうすれば伝わるのか、どうやって表現すれば伝わるのか、というようなことを考えられる能力です。
そういうことを意識した原稿と、意識しないで書かれた原稿では雲泥の差があります。
コピー力
直接的にコピー力が必要なわけではありませんが、タイトルや章タイトル、節タイトルは、キャッチコピーのようなものです。
そういうところに光るものがあると、企画は通りやすくなります。
自己管理力
締め切りの厳守や体調管理など、一緒に仕事をする上で、お互いに信頼関係が作れるかどうかはかなり重要なポイントになります。
打ち合わせの中でも、そういうのはチェックされていると思った方がいいでしょう。
この3つの能力が備わっていれば、著者としてブレがないはずです。
著者のブレは編集者に嫌われますので、注意しましょう。
著者を探す側のマインド
編集者が著者を探す場合、ネットを使います。
もちろん、人脈を辿ることの方が圧倒的に多いのですが、それは企画が決まっている場合の話しです。
これから企画を考える場合、何か面白そうな企画を探している場合というのは、圧倒的にネットを使うことが多いです。
そこで、出版社の編集者数人に聞いてみました。
ブログなどから著者や企画を探す場合、何を考え、どこを見てますか?
(そのまま書籍化ってコトではありませんよ~、念のため)
まずはテーマ。
ブログランキングもそうだし、人の紹介もそうですが、ネットサーフィンをしながら、面白いネタを探すことが多いようです。
意外にも検索エンジンではありませんでした。
考えればわかりますね。
検索エンジンで探す時点で、キーワードが決まっているということであり、それって探したいテーマが明確ってコトですから…。
次は、ビジュアル。
よく開いて3秒で…と、言いますが、それだけではないようです。
開いてすぐに何のブログか分かり、かつ面白そうであること。
デザイン、レイアウトが秀逸で、ユーザビリティが考えられていること。
そして、本文が読みやすいこと。
編集者は、どんどん見ていくので、少しでも違和感があると次にいく方が多いようです。
そういう意味では、見た目はかなり重要だと思います。
とりあえず、ありものデザインは相手にされないと思っていたほうが良さそうです(編集者が一見さんの場合のみです)。
最後に、内容。
内容は、文章力とプロフィールをチェックしてます。
文章力はそのままですね。
こういう一見さんで探している場合、プロフィールはそこに書かれていることも重要ですが、信頼できるかどうか、もっと言えば、著者として扱いやすそうかどうかを判断しているそうです。
実際に出版する場合、その過程でいろいろなコトがあります。
そういう場合、勘違いした素人の著者は本当に扱いづらいですから、その気持ちはよく分かります。
こんな感じだそうです。
テーマや文章力、プロフィールに関しては、自分にしかできないコトなので、仕方ない部分が往々にしてありますが、デザインに関しては外注して、プロのデザイナーさんにお願いすれば、何とかしてもらえますよね。
ブログに限らず、はじめてデザインをお願いする場合、何を聞かれるのか、どう伝えればいいのか、など、いろいろ心配もあると思いますが…。
もし、出版を目指しているのであれば、知らないところで機会損失していては、もったいなさ過ぎます。
今すぐにでも、着手できるところから変えていきましょう。
本を出版するには
そもそも本というのは、出版しようと思えば誰でも出版することはできますが、だからといって誰でも気軽に出版できるものではありません。
それは、自分が本をお金を出して買う側の人間として考えてみれば、それほど難しい話ではないでしょう。
自分がお金を出して本を買う以上、その本に書かれていることは、机上の空論ではなく、ちゃんとして実績を裏付けされた実践的な内容であって欲しいと思うはずです。
つまり、出版というのは、どうにかなりたい人のがするものではなく、どうにかなれた人がするべきものなのです。
でも、実際は何の実績もない人が、出版して、ブランディングして、ビジネスを加速しようとしている人がどれだけ多いか…。
このブロブは、そういう人ではなく、“どうにかなれた人”が誰にも搾取されることなく、ちゃんと出版できるようになるために書いていこうと思っています。
では、何をもって“どうにかなれた人”なのかという話しをしていこうと思います。
今、大手の出版社に行くと、著者の条件として、2つの要素を挙げられます。
- コンテンツ力
- 販売力
コンテンツ力というのは、薄っぺらい机上の空論ではなく、実績に裏付けされた骨太なコンテンツを持っている人という意味です。
販売力というのは、何かしら実績があれば、そこにファンが付いているはずだろうということです。
出版社が求めるコンテンツ力
出版社も、読者も、出版をするのなら、“どうにかなれた人”による実績に裏付けされた骨太なコンテンツであって欲しいというのが切なる願いだと思います。
では、実績に裏付けされた骨太なコンテンツというのは、どういうものなのか?
それは、質と量です。
質というのは、コンテンツがちゃんと実績に裏付けされており、実践者の痒いところにも手が届くことができること。
そして、ノウハウが秀逸でありながら、体系化されていて、再現性があること。
量というのは、そのコトを話したら、4時間ぐらいは軽く話し続けられるぐらい。
ブログでいったら100記事ぐらいはゆうに書けるということ。
それぐらいでなければ、とても一冊分の原稿は書けませんからね。
出版社にお願いされて本を出版する方法
出版社は何時でも売れそうなネタ、面白いネタを探しています。
逆に言えば、売れそうなネタ、面白いネタをお持ちの方には出版の依頼をするということです。
売れそうなネタ、面白いネタとは、市場に需要があるネタのことを意味します。
自分では、そのネタが売れそうかどうかは分からないし、面白いかどうかも分からないと思いますので、需要があるネタを探してみましょう。
需要があるネタとは、市場で知りたいと思われているネタということなので、ニュースをチェックすると楽に見つかります。
新たに法律が制定されれば、その解説が必要になります。
新商品、新サービスがリリースされれば、その使い方を教えてほしくなります。
誰か話題の人がいれば、そうなる方法が知りたくなります。
このように、意外にも簡単に需要があるネタというのは転がっているのです。
あとは、そのネタを強みにしていることでブランディングします。
そのためにも、いち早くそのネタについて調査、研究、検証、勉強などをして、専門家としてブログなのでアピールしてください。
ブログやメルマガで、そのネタについて情報発信し、アクセス数や読者数などでファンが多く存在していることが証明されれば、言うことありません。
ブログやメルマガなどのネット媒体が持つ影響力、発言力、販売力といったパワーは、本当に馬鹿にはできないということです。
出版社が求める販売力
出版社ができる営業活動というのは、より多くの書店に置かせてもらい、少しでもよい場所に置いてもらうぐらいです。
でも、いい場所に置かれてもスグに本が売れるわけではありません。
1日に250点近くの本が刊行されている昨今、本が売れ始める前に返本されてしまうこともしばしば。
せっかく売れそうな本を作っても、それではなかなか売れません。
そこで、著者に初速をつけてもらいたいというのが、出版社の本音だったりします。
その初速をつけるだけの販売力。
具体的に言えば、著者がお願いしたら本屋さんに買いに走ってくれるファンの数が多い著者を求めているということなのです。
本を出版したいならブログぐらいはやっておこう
ブログを運営していると、いろいろなメリットがあります。
■アウトプットのメリット
- 思考の整理、ネタ出し
- 文章力のトレーニング
- 読者の反響をチェック
- 原稿の下書きになる
- 情報が集まってくる
- 人脈が集まってくる
■出版実現のメリット
- 編集者からのアプローチ
- 著者の人間性が分かる
- 今までの取り組みが確認できる
- 文章力が確認できる
- ファンがすでにいる
- 本を売る能力がある
■出版後のメリット
- 販売促進キャンペーンの実施
- 自分で本を売り続けられる
- 見込み客のリスト化
- ファンの教育
- バックエンドの販売
- 継続収入の流れを作る
実際にブログを運営していると、こういうメリットがあります。
ただし、ただ運営していたのでは、意味がありません。
これだけのメリットを享受するためには、そのブログがパワーメディアになっていなくてはなりません。
パワーメディアとは、メルマガであれば読者が1万人以上、ブログであればユニークアクセスが1日1000を目安にしてください。
自分のブログを将来的に出版につなげるパワーメディアに育てる上で大切なことは、次の5つのポイントになります。
○好きなことより続けられること
○ネタは100%は出さない
○プライベートについてもふれる
○ブランディングをする
○出版したい旨をアピールする
そして、自分のブログをパワーメディアにすることができれば、出版実現の近道になります。
実際に出版が決まった面々を見ても、人や企画というよりも、その人が運営するブログがパワーメディアになっていることが分かると思います。
パワーメディアになっているということは、販売力もさることながら、そのブログの魅力や文章力なども評価されるということなのです。
ここでいう文章力は技術的なことではなく、言霊のような読者を引きつける力を意味します。
あと、パワーメディアを持つメリットとしては、出版実現、出版後にいろいろと有利な『倶楽部カカトコリ』にも加入することができるようになるということです。
(パワーメディアになっていない状態で加入しても効果は薄いです)
しかし、自分のブログをパワーメディアに育てることは、そんなに簡単なことではありません。
書籍を出版する方法
私は自分のセミナーなどでは、『出版は誰でもできますが、簡単ではありません』といつも申し上げております。
そもそも出版をするということは、第三者機関からの認定ということであり、それが簡単ではないから出版することに価値があるわけで、誰でも簡単に出版できるのであれば、出版に価値はなくなってしまうと思いませんか?
では、なぜ誰でもできるのかというと、自分のノウハウやメソッドの価値をしっかりと認識して、価値を感じてもらえるような相手に、価値が伝わるような形で企画にまとめ、それを適切な方法で見ていただき、評価されれば出版はできるからです。
つまり、ちゃんと企画書を書くことができ、適切な方法で出版社に売り込むことができれば、誰でも出版はできるということです。
あとは、原稿を執筆して、販促を行い、増刷が繰り返されれば、二冊目、三冊目の出版が決まりやすくなっていきます。
本というのは、著者や編集者にとって子供のようなものです。
著者と編集者の相性によってできあがる本も大きく異なりますし、本作りの過程や本が出来上がった後に決別することも少なくありませんからね。
もっと言えば、著者は自分の中にあるものを原稿に吐き出すのに対し、それを受け止めた上で本が出来上がるまでしっかり本作りに向き合うのが編集者だったりします。
そうやって考えると、著者が父親で編集者が母親のような気がしてきませんか?
実際、売れなかった本を編集者のせいにして見限ることが多いのも著者だったりします。
編集者は、売れようが、売れまいが、出来上がった本には愛情を注ぎ込み続ける人の方が多いです。
そういうことを踏まえて考えると、本作りというのは子作りに似ているなぁ〜と。
なので、セミナーなどでは、本気で出版したいのなら、しっかりと“妊活”ならぬ“本活”を行いましょうと申し上げております。
なので、“本活”ということで、次の順番で解説をしていこうと思います。
- 出版形態の選び方
- 企画立案の方法
- 出版企画書の書き方
- 出版社への売り込み方
- 原稿の書き方
- 本の販売促進の方法
この順番をしっかりと取り組めば、誰でも出版することは可能です。
もちろん、それほど簡単なことではありませんけどね。
それでも、出版することで得られることを考えたら、大変でも取り組む価値は十二分にあると思います。
誰にもお金を払わなくても実践できるだけのノウハウがこのブログにはありますので、しっかりと読んでみてください。
ロングセラーを狙うなら、その棚での定番本目指す
1日200冊以上が発刊される昨今、書店でのスペース確保どころか、書店に置いてもらうことすら難しくなってきました。
それでも、どうせ本を出すのならロングセラーを狙いたいものです。
では、ロングセラーを狙うにはどうすればいいのでしょうか?
それは、棚前の定番商品を狙うことです。
書店には、各カテゴリーごとに棚があります。
そして、その各棚の前に平積みされているのが、その棚に関連する新刊本とベストセラー本です。
狙うのは、そのベストセラー本になります。
つまり、まず書店のカテゴリーとして確立されているテーマを選ぶことが重要になります。
そして、その上で、その中で一番いい本を作るのです。
別に奇をてらう必要なんてありません。
ど真ん中の王道を目指し、どの本よりも解りやすく、見やすい本を作ればいいのです。
新人著者の場合、どうしても変化球で勝負したがる傾向が強いです。
確かに、その方が企画は通りやすいので、気持ちは分かるのですが、そういう本は最初の売れ行きはいいですが、決してロングセラーにはなりません。
もし、長く売れるロングセラーを目指すのであれば、棚前の定番を目指しましょう。
ちなみに、最近、シリーズ本をたくさん手がけている大手の出版社では、内容の企画書だけではなく、体裁や誌面デザインなどに工夫を凝らしたシリーズの企画書というのも受け付けているようです。
こういうシリーズの企画書の場合、内容はだいたい分かっているので、「このシリーズをこういう誌面で再編集したシリーズに…」ということを企画書にまとめることになります。
シリーズの企画書の場合、1冊決まると、同時に複数冊が決まるようなものなので、かなり効率的です。
ネタがなくても本を出版する方法
出版セミナーをやると、必ず、参加者の中に「書くことがありません」という方がいらっしゃいます。
でも、出版セミナーに参加されているのですから、出版はしたいということでしょう。
つまり、「出版したいけど、書くことがない」という状態です。
しかし、実は自分が何かに興味があれば、出版はできるのです。
よく書籍を読んでいると、最後の方に『参考文献』と書かれて、たくさんの書名が列挙されていることがあると思います。
あれは、そのたくさんの本を参考にしましたという意味です。
かの有名なベストセラー作家さんも、凄い数の参考文献が並んでいます。
これを読者の側ではなく、著者の側から考えてみれば、何か興味のある分野の本をたくさん読んで、それらを参考に本を書けばいいということです。
本は、情報収集をし、整理して、自分なりの考察を加え、再構築して、原稿に落とし込みます。
たくさんの本を読むことは整理された上質の情報を収集するということです。
なので、重要なのは、次の工程でしっかりと自分なりの考察を加え、自分のノウハウとして再構築できているかということです。
これなら、「出版したいけど、書くことがない」という状態は回避できます。
ただし、ここの作業が甘いと「パクリ」と呼ばれるので、注意しましょう。
本を出版したいならビジネス書の出版企画
もし、本の出版を目指しているのであれば、ビジネス書をオススメします。
それは、ビジネス書が一番出しやすいからです。
一冊でも出版してしまえば、その本が売れることが条件ですが、二冊目で好きなテーマで出版するのは、それほど難しい話しではありません。
その本が売れるということは、二冊目の分の原価ぐらいの利益が出ているはずなので、出版社としては、やりたい企画で出版させて、万が一、一冊も売れなかったとしても損はしないのです。
それならば、一冊目をビジネス書で出版して、それを売り、二冊目で好きなテーマで出版するというのが理想的な展開となります。
では、なぜ、ビジネス書が出版しやすいのかについて書きます。
まず、発行点数の問題です。
ビジネス書の発刊点数は、1日に200冊と言われております。
それは、つまり、1日に200冊の企画が決まっているということでもあるのです。
これほどチャンスが恵まれたジャンルは、そうはありません。
そして、内容についてです。
ビジネス書の場合、ノウハウが体系化されていて、そのノウハウが秀逸であれば、はじめての著者でもノウハウありきで出版デビューしやすい環境が整っています。
また、読者も目的を持って購入する方が多いので、「この本を読むとどうなれるのか」が明確になっていることが重要なので、そういう意味でも書きやすいはずです。
他にも、類書が多いため、類書を研究し尽くして、面白い切り口を見つけ出せれば、それで出版することもできたりします。
実績さえあれば、資格などもとくに必要ないのも魅力です。
しかし、だからといって、なめてかかって、出版できるほど甘い世界ではありません。
せっかくチャンスが広がっているのですから、しっかりと戦略を立てて、その上で企画書を作成し、売り込むようにしましょう。
本を出したいなら「あなたにしか書けないコト」を見つけよう
あなたが、もし、本を書いてみたいと思ったら、まず、自分の経験や実績の中から、自分にしかできないコト、自分しか知らないコトを考えてみましょう。しかも、そのコトは概要を話しただけでは真似のできないレベルでなくてはなりません。
そのコトに魅力があり、それなりの市場規模が見込めるのであれば、きっと、本を書くことができます。
逆に誰でもやっているコトや誰でも知っているコトであれば、あなたが書く必要はありません。
もっと、肩書きがある方や有名な方が書いた方が本は売れるからです。
書きたいことが見つかったら、企画書にして出版社や編集プロダクションに売り込んだり、知り合いに紹介してもらうと良いでしょう。
もし、そういうツテが無いのであれば、サイトやブログにまとめたり、メルマガを発行したり、セミナーを開催してみてはいかがでしょうか?
他にも、書籍にする前に情報商材にまとめて販売しても良いかもしれません。
そういう一つ一つの実績が、書籍化への道をグッと近づけてくれることでしょう。
ただし、その実績で誰にでも理解できるほど掘り下げてしまいますと、その瞬間からあなたが書く必要が無くなってしまう可能性もあります。
だからといって、あまり公開しないのでは意味がありません。
その微妙なさじ加減は、とても重要なことなので、細心の注意をはらうようにしましょう。
いずれにしても、重要なことは「あなたにしか書けないコト」を探すことです。その内容がより売れそうであればあるほど、条件も良くなりますし、待遇も良くなります。
出版社としても、あなたにしか書けないのであれば、あなたに書いてもらうしかないのですから。
本を出したいなら「読者が必要性に気付いているコト」を見つけよう
本は、どんなに役立つ内容であっても、読者と巡り合わなければ、意味がありません。
そのためには、『読者がそこに悩みを持っていて、その解決策を書店に求めているかどうか』という思考が重要です。
しかし、あなたが持っているリソースが、読者に気付いてもらえていない、もしくは、求められていない場合があります。
では、そういう場合は、本を出版できないのかといえば、そうではありません。
そういう場合は、読者の悩みにフックさせて、自分のリソースを解決策とすることで解決できます。
具体的に説明します。
あなたがアフィリエイトの本を出したいと思ったとき、アフィリエイトの情報がネットにたくさんありますので、書店に情報を探しに来る方は少ないです。
しかし、副業の本として発刊すれば、書店に情報を探しに来る方が一定数見込めます。
そして、その本を読むと、副業の方法(解決策)はアフィリエイトとなっていれば、アフィリエイトの本でも出版することが可能です。
さらに実際に相談を受けた事例を紹介します。
「姿勢を良くすれば、血液の循環がよくなり、頭が良くなるんです。だから、姿勢の本を書きたいんですよね。」と整体の先生から相談されました。
でも、姿勢が悪いことを自覚している人、さらに、それが体に悪いので改善したい人というのは、少ないでしょう。
なので、こういう場合は、『頭がよくなる本』を出版し、その内容が姿勢を正す本にすればいいんです。
もう1つ。
「古武術を教えているのですが、出版できますか?」と古武術の先生から相談されました。
最近は格闘技ブームとはいえ、古武術のニーズは少ないです。
ケンカに近い総合格闘技よりの方が人気ですし、しかも、書籍でといえば、なおさら難しいです。
動きを勉強するなら、書籍よりも道場を探しますから。
なので、古武術の良さをヒアリングしたら、介護に役立つということだったので、『らくらく自宅介護』みたない本を出版し、その内容で古武術を利用した介護の本にすることをアドバイスしました。
つまり、書きたいネタをダイレクトに企画にしようとせずに、そのネタを解決策にして、それを必要とするであろう人にフックする企画にすればいいんです。
簡単に言えば、書きたいネタの単語(アフィリエイト、姿勢、古武術など)を使わずに企画を考えるというコトです。
著者になりたいんですか? ライターになりたいんですか?
本を書くのには、著者になる方法とライターになる方法があります。
しかし、著者とライターは全く違う職種です。
当然、求められるスキルも違うので、注意してください。
あ、ただし、ここでいうライターというのは、出版業界内における職種です。
それ以外のライターさんは対象外ですので、ご了承ください。
では、仕切り直して…。
著者は、本を書くことが目的で、文章を書いて生活するという意識はほとんどありません。
そして、著者として本を書く場合には、その人がその本を書く必然性を求められます。
そのため、自分の得意なジャンルを掘り下げて、エッヂを立てなくてはなりません。
一方、ライターの場合、文章を書くことを生業にします。
なので、毎月、仕事の供給を受けなければならないため、ひとつのジャンルを掘り下げることは、自殺行為です。
そのジャンルだけで、毎月、毎月、生活するだけの仕事量を継続的に確保するのは、媒体側でも飽きられてしまいますし、至難の業
ですので、求められるのは、どんなネタをお願いしてもすぐにある一定水準の原稿を書けるだけの瞬発的な情報収集能力や適応能力、咀嚼力が必要になります。
他にも、細かく言えば、それぞれに求められるスキルたくさんあります。
あなたが、どういう肩書きで本を書くかは自由ですが、著者とライターというのは、全く別物だということは覚えておいてください。
ペンネームが使える場合、使えない場合
本を出版したいという人からの問い合わせで、けっこう多いのが“ペンネーム”についてです。
とくに会社員をされている方が気にされされますね。
ペンネームを使えるかどうかで言えば、使えます。
ただし、注意して欲しいのは、あなたの企画は著者として求められるのは資格ですか?実績ですか?ということです。
何かについて本を書くのであれば、そのことについて書く資格や実績が求められます。
資格というのは、そのことについて書けるだけの専門性です。
そのことについて、どれだけ詳しいのかの根拠を提示する必要があります。
実績というのは、そのことについて書けるだけの裏付けや体験です。
そのことについて、その実績をもっているからこそ書けるという目に見える論拠が必要になります。
この資格と実績に大きな違いがあることに気づきましたか?
資格はスキルなので、出版社の編集者を説得できればOKなので、ペンネームで構いません。
しかし、実績は論拠として読者に納得してもらうわなければならないため、その本人でなければなりません。
簡単に言えば、『元●●が語る~』みたいな企画は、その人が本当に元●●かどうか分かる必要があるので、こういう場合は本名、もしくはペンネームでの実績を求められるということです。
つまり、ペンネームを使うということは別人格になるということですから、その別人格でもアピールできる著者プロフィールを書かなければならないということです。
なので、「ペンネームで本を書くことは可能ですか?」と質問される会社員のほとんどが、その会社にいるからこそ書くに値する企画ばかりなので、ペンネームでは企画として成立しないということになります。
出版のタイミング、チャンスは一瞬しかない
以前、知り合いのソフトダーツの日本代表選手だった方が、本を書きたいと相談にお見えになりました。
当初、ソフトダーツの実用書でしたが、出版社の意向で「ビジネス書の切り口なら」といわれたのですが、本人が乗る気ではなく、保留したまま時間が経過してしまいました。
そして、半年ぐらい経って、その切り口でも構わないと回答いただけたのですが、『時すでに遅し』でその時点ではすでに出版社の方も萎えてしまっており、出版の確定にはいたりませんでした。
こういう話はけっこうあります。
出版物には少なからず、“旬”というものが存在します。
そして、出版社の担当者にも“波”というものが存在します。
今はダメと言われた企画でも、後で通ることもありますし、他の出版社だと通ることもあります。
逆に今なら通るけど、一ヵ月後だと通らないこともあるのです。
そういった意味でも、できる限り、チャンスは活かして欲しいと思います。
そして、そのチャンスを逃さないためにも、できるだけ迅速な対応をするようにしてください。
この企画、本気で売れると思ってます?
たくさんの方々の企画書を拝見していると、たまに「この企画、本気で売れると思ってます?」と聞きたくなることがあります。
そして、実際に聞くと、必ず「こうこうこうで、売れると思います!」とかえってくるので、「何部ぐらい売れそうですか?」と聞き返すと、気軽に「1万部はいけると思いますよ」とおっしゃいます。
そこで、すかさず「じゃあ、1万部売れなかったら、売れ残った分を買い取ってもらえますか?」と訊ねると、「………(沈黙)」で終了。
本気で1万部売れると思っているなら、そこで「いいですよ!」という答えが返ってくるはずですし、返ってきたら出版も確定するでしょう。
でも、実際はそのリスクを背負おうとはしません。
自分が自信を持って出してきた企画なのに…。
逆に言えば、「いいですよ!」と答えられるぐらい真剣に考え抜いた、本気の企画を出してきて欲しいのです。
だって、あなたが出した企画を出版する出版社は、あなたの企画にリスクを背負って投資をしてくれるんですよ。
それに対して、立案者である当事者が本気で考えてないって、失礼だとは思いませんか?
出版するまでには多くの方が関わります。
つまり、軽い気持ちで出版を目指されたのでは、多くの方が迷惑するということです。
ブログデザインも重い雰囲気になるようにデザインしていただいたのも、会った人のほとんどに注意される強面の写真を使い続けているのも敷居を上げたかったからです。
出版企画書の無料添削サービスを廃止したのも、いい加減で軽薄な企画書がたくさん送られてきたから。
今後、本気で出版を目指す方だけを対象に、こちらも本気でサポートすると決めました。